2007年09月30日

ハンク・モブレー

そういうわけで、
1988年の春、
母と姉と僕は、小さなトランクと、身の周りのちょっとしたものと一緒に
沖縄にやってきた。

那覇空港の床が、レンガ色のタイル張りだった頃だ。

母のパンプスの踵は、
まるで古い映画のイタリア製の靴みたいに
コツコツと乾いた音をたてた。

その日から僕らは
母の母親と、母の姉、そして、
僕にとってのいとこふたりが、それほど広くはない家で、
総勢7人で暮らすことになった。

母の父親は、随分昔に死んでしまっていた。
いとこ達の父親も、僕らが沖縄へ来る1年前に死んでしまっていた。


僕の父親は

今も世界のどこかで

息をしている。




Posted by いわしろ at 20:37│Comments(2)
この記事へのコメント
最初の記事「スタート」で、
『僕は 自分の思ったことを「ことば」にするのが苦手だった』
と、ありますが・・

いわしろさんは、思ったことを文字に・・文章にするのが
とても自然ですね。

小説を読んでいる感じがします。(めったに読まないのですが。)

物を書くという行為は、時として心を整理してみたり
「気づき」につながることもあると、感じています。

また、続きを拝読しに伺いますね♪
Posted by yuriayuria at 2007年10月01日 15:49
yuriaさん

10月1日の記事がほとんどお返事みたいに
なっているのですが、
僕は思ったり考えたりしたことを
何度も反芻し、推敲して
文章にすることは嫌いではないです。

ただ、その場で何かを言わなくてはならなくなると、、
いつも「ことば」が僕から遠く離れていきます。

yuriaさんの言うとおり、これを書きながら
心を整理しているのだと思います。

なかなか進まない作業ですが、
これからも
なるべく
自分の「ことば」を
探していきます。
お付き合いいただけたら嬉しいです。
Posted by いわしろいわしろ at 2007年10月02日 00:40
 
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